みだをふいて  きることから始めましょう 

               あわせさがしを の場から

                      理事長   田中 義和

 KHJ初代会長の奥山雅久さんが全国各地で講演され、名古屋での講演

会終了後、
KHJ支部の結成を呼び掛け、その場に残られた方たちを中心

にして、なでしこの会が
2001年の826日に結成されました。愛知県

を中心に岐阜、三重、静岡から
84家族100名が参加されました。


 朝日、中日、
NHKなどで紹介され、反響が大きく11月例会には、な

んと
200家族250人が参加したと、会報「なでしこ」創刊号には熱気に

あふれた様子が報告されています。


 若者が社会的弱者に

 バブルが崩壊し、
1990年代の後半には非正規雇用が増大、社会に出

ていく入り口のところで、多くの若者がつまづき、ニートやひきこも

りが社会問題化してきました。社会学者の宮本みち子さんの「若者が

社会的弱者に転落する」(
2002年洋泉社)がベストセラーになりまし

た。それまでは、「社会的弱者」と言えば、高齢者、障がい者、女性

、子どもなどでしたが、今や若者も「社会的弱者」となる時代が到来

しました。


安心して心を開いて語り合える拠り所

 
2001年には「西鉄バスジャック事件」「新潟少女監禁事件」など、

ひきこもりの若者が起こす事件が相次ぎました。ひきこもり=犯罪者

、怖いというイメージが広がりました。一方で、贅沢病、本人のなま

け、親が甘やかすからだと、責任を本人や家族に一方的に押し付けら

れる風潮も強くありました。


 そんな中で、医療・相談機関に行っても適切な対応がされず、世間

体を考えて問題を隠そうとする親の姿勢もあり、親と当事者は社会的

に孤立し、混乱を深め追い詰められていました。なでしこの会の設立

は、そんな親や当時者にとって、希望であり、安心して子どもたちの

ことを語り合える心の拠り所だったと思います。


なでしこの会は「なみだをふいて できる事から始めましょう しあ

わせ探しを この場から」から名付けられました。この名前には創立

時の親たちの思いがこめられています。


 少しずつ進むひきこもり支援

 なでしこ創立から
16年、ひきこもりを巡る状況はどう変わったでし

ょうか。
家族会や支援関係者の努力もあってひきこもり問題について

の社会全体の理解も少しずつ変わってきました。
2009年には地域ひき

こもり支援センター、
2010年には、「子ども・若者育成支援推進法」

成立し、ひきこもりやニートの支援に初めて法的な根拠が与えられま

した。
2015年には生活困窮者自立支援法が施行され、その相談窓口に

ひきこもり支援も位置付けられました。ひきこもりへの理解・支援は

確実に進んで来ています。しかし、一人ひとりに必要十分な支援が届

いている実感はまだまだ私たち家族や当事者にはありません。


家族会で支えあって歩んで行こう

 なでしこの会も、例会、会報の発行
、田中邸・一宮居場所の開設、

県や行政への働きかけ、とくに近年は「
NPO等が行う生活困窮者自立支

援事業」を受託し、常設の居場所(フレンドシップなでしこ)を拠点

に、居場所・就労支援・訪問支援・相談、カフェなでしこの開設など

で、大きな成果をあげてきました。


 長期高齢化の現実を前にして、家族会の取り組むべき課題は多くあ

ります。家族会の原点は社会への働きかけとピア(同じ体験を共有す

る仲間)として支えあっていくことだと思います。ひきこもりの人た

ちへ誤解と偏見をなくし、この社会の中に生きていく場所を作りだし

、自分たちで幸せな人生を歩んでくれるように、同じ苦しみや悲しみ

、希望を共有する仲間として支えあって行きたいと思います。